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東大医療政策人材養成講座ノート

最近現場に出て、医学ってやっぱおもしろいなあ、と思いつつ、勉強しきれない日々が続いています…
まあともかく。

東大の講座、今日は女性外来と老年科が話の主でした。
ノートを日記に貼り付けてみることにします。

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1027第4回

◆天野恵子先生 「女性のヘルスケアにおける新しい視点」

「性差」
戦後、感染症対策が重要だった
→下水道・薬

 …結核を治すために医者になったのに、なったときは過去のものに
 →循環器に

・ガン
 どんどん進歩している

・生活習慣病

などなど

・分岐
 小児
 老年
 産婦人科…妊娠・出産を経験している女性
   高齢女性は範囲外

 →高齢者の女性は独特であるとみなさないと、医療が無駄になる?

例)
 心筋梗塞:男性の死亡率は低下しているのに、女性の死亡率は上がっていた…
  閉経前の女性にはまず起こらない
  閉経後は、急速に動脈硬化進む 70歳で女性男性はほぼ同じものに
  

 なぜ男性の死亡率が高い?
  …ガンの発生率が非常に高いから
   心筋梗塞・自殺・事故 も。
   この4つで、50〜60代で、圧倒的に多数が死ぬから、平均寿命が下がる

    ⇒男性の治療に入る必要がある!!!


・アメリカ
 更年期女性のQOLを媚や化す疾患の研究   800億円
  HRT
  サプリメント
  ダイエット、などなどなど

 HRTは心疾患に予防効果がなかった…
 
  (これがもっとも大きな効果だったといわれている)
  アメリカは、死因の第一位が心疾患だから

ではこれからどうするべき?
 evidenceがなければ教育できない…
 (今のデータは欧米のものばかり)
 ⇒(医療提供者の意見) まずは、evidence

 そして、既存の医療従事者の専門教育
 
 例:東大は、細切れの内科から、総合内科に変身した
  昔、なんでもできた
  ちょっと前、研修が終わってすぐに専門にはいり、かたわな医者に育った
 「内科医」として、あたまから足先までとりあえず見れるべき
   …天野先生はそこに、教え込んでいる

 患者さんたちへの教育
  たいせつ
  そのためにはマスコミが動く必要がある

ではどうすべき?
・患者が選ぶべき

 医療のすべては、医師の質!!

 例:患者満足度調査
   もっとも興味があったのは、医師の質

2万人を対象にした疫学調査
 →その方たちを検診
 →今、毎年フォローアップ  <<evidence!>>

患者さん
15の保健所の女医・保健師のセミナー 年4回
 その女医・保健師が、地域に年4回のセミナー

 …コメディカルが地域を教育するべき だから彼らを教育するべき


●日本の医療は、3時間待ち3分診療と揶揄されてきた
  女性外来は、一ヶ月待ちの30分診療…
  30分、話せなかった悩みをじっくり聞いてくれるのが受ける理由だろう
  
  半分くらいは、電話相談で納得する、例。

→30分の初診が、はやる理由
 着てもらう前に電話相談うける。それで半分納得する。
 
 自分たちは内科医だけだから、地域のマップを提供している。

 若い先生は、30分以上受けてしまう状況がある…
  まじめにやればやるほど鬱になる それを乗り越えつつある
  
  だが、一番の問題は、それをやろうと動く女医がいない!
 
 カウンセリングには、コメデカルも重要

●30分医療は、自由診療? 保険診療?

→30分診療で成功している病院は、規模としては大きくないもの
 とおがねは、200床で有名だから、黒字
 
 大学病院は、女医をあつめることが可能
 
 しかし、個人でやるときは、自由診療にしないと難しいだろう…

●女性医師の、女性専用外来なり手がいないのは、なぜ?
●どうやればこの分野の女医ふやせる?

→総合診療的にならなければいけないことが、大変
 専門医の傍ら、女性外来は、むずかしい
 勉強が、大変
 
 最初からトータルで患者を診る教育を受けていたら、何の苦もないのに…
 システムを変えないと!
   …東大も変わったので、ほかもこれから変わっていくだろうが

●時間をかけて、トータルに見てもらえる、ことが大切
 であれば、総合診療部的にみる場所があって、
 女性がやっているのか男性がやっているのか、明示されていればいいのでは?

→理想だが、まだ難しい
 今の若手では、女医がやっと3割くらいになった
 その人たちが育てばそんな配置も可能になる?

 「女性外来」は、女医を配置している、と分かりやすい
 まだ少ない女医が集まっていると示す手段。 これは仮の手段である

●女性外来 全国各地にたくさんできている
 が、教授にいわれてしかたなく…というところもある
 質のばらつきはどうする?

→多くは、国公立病院、大学病院
 国立病院は、ポリシーをもって行っている
 大学病院は、研究・教育を考えているが、ポリシーをやはり持っている
 
 県立・市町村立 …議会できまったから、とやっているのが、一番の問題


◆大内先生「置き去りにされた高齢者医療?」
   …誰もがその重要性と必要性を認識しているのに恵まれない医療

・高齢者は驚異的な勢いで増加している
 (少子化が進んでいる)

・老年期の区分
 老年前期 …65〜74歳  ←ここまでは元気
 老年後期 …75〜89歳  ←ここからが問題…
 超高齢期 …90歳以上

・日本は、後期高齢者人口が大きく伸びている!

<問題>
・高齢者の医療をどう発展させるか?
・介護をどうするか?

・高齢者の医療は臓器別には解決できない
 が、
 医療関係者も国民も、それを理解していない!
   それが高齢者医療の発展を阻害している

キーワード:
 「疾患の予防」    一度かかると、完治が難しい
 「機能障害を有する高齢者の介護」

 高齢者医療を担う次世代をどう育てるか?

高齢者の疾患;
 動脈硬化
 ガン
 感染症
 痴呆
 骨粗鬆症

  …下の二つは、高齢化がでてくる少し前まで問題にもなってなかった
   また、致命的にならないという特徴がある!
    が、本人・家族のQOLを極めて低下させる!


『CGA』 comprehensive geriatric assesment
 高齢者の総合機能評価

  …食事・電話・痴呆・欝、などなどを評価する

総合評価病棟(CGA)入院中の流れ
  各専門家が集まって、組織的に治療する チーム医療


例:高齢者の心不全
 入退院を繰り返し、コスト高い
 家族の負担も大きい
 
 CGAは、急性期の終わりから、慢性期に入る在宅にいかにもって行くか、を考える
 行うことによって、医療コストが半分に

 コストが上がる誘引を、多職種が関わることで、防ぐ

・予防
 骨量現象の多様性
 予防するために、若い人に伝える
 「老年医学は、生まれてからすぐ始まる」

・遺伝子多型性を用いた解明
 予防につながる
  …差別につながる可能性ある?

例:肺炎にならないようにするために、どうする?
→毎食後に、口腔ケアをする
  食後5分、一日三回
  死亡率、半分に!!

 知的機能の低下も、すこし押さえていた!

・日本、医療費を削ろうと躍起になっている
 医療の質を上げて、医療費を下げよう!
  evidenceを増やさないと…


・医療と福祉の共同作業

 若いころは、「無病息災」
 お年寄り 完全治癒が難しく 「一病息災」
 
 介護ニーズと医療ニーズは、実は比例する
 別個にすべきものではない

→高齢者の退院支援
   病院全体で取り組む!

 なぜ東大がそれをやるように?
 ・高齢社会の到来と疾病構造の変化
  社会的入院の増加
   →円滑な早期退院と幸福な退院後療養生活の確保
 ・病院機能の分化・明確化
   →資源の確保
              など

→在院日数が15日短縮!
 退院後の患者・家族の不安が減った


・日本の高齢者医療の研究、教育体制は?


・公的な高齢者専門の病院・研究所
 日本に二つだけ!
 
  東京都老人医療センター
  東京都老人総合研究所(1972)
 
  国立長寿医療センター(名古屋 1995〜  今年改名)

「Successful aging」


ポイント
・どうすれば高齢者医療進められるか?
・ガイドライン…  evidenceがない
・地域
・教育研究期間の拡充
・国民の認識 臓器別
・介護保険  …自立度を下げている例がある
・医療費
  適正レベルはある?
・メディア
  間違った報道が非常に多い…


●CGAは、理想的だとおもう
 が、小さい病院でそれをやると、大変だと思う…
 東大では、汎用性のあるモデルを研究している?

→マンパワーがかかるのが、CGAの特徴
 しかし、ばらばらに行われていたことをまとめるだけ。

 しかしやはり、インセンティブも必要
  NET effectとして効果がでれば…

●老年科 素敵な医者に出会ったことがない

→今までの老年医学の切り口は、65歳を境に分けていた 怠慢だった
 老年科医が、総合的に判断して、専門的なことは紹介でやっていくべき

●予防
 インセンティブはつく?
 保険予防適応がつくべきものはある?

→口腔ケアは、インセンティブつくだろう
 退院ケアにも

 高血圧とか高コレステロールとか、予防治療はいくつかある
 そのような形で予防は入れられるだろう

●生命倫理
 抗がん剤治療 厳しい副作用 合併症もある
 厳しい治療選択
 
 高齢者は、死んでいく存在でもある。どう思っているか?

→「お年寄りの病気は治療する必要はないのか?」
 ではなく
 「回復の可能性があるのか?」
 が重要になるべき
 だめなら、縮小医療をするべきだ
 が、コンセンサスができていない

●コスト
 老年医学はコストを上げるとおもう

→コストがかからないようにするにはどうするべきか、を議論するべき
 賢い医療費の削減は、できるはず
 だが、そいうった視点、今までなかった evidence増やすべき


●東大でのケーススタディが全国にひろまるとは思えない
 どうすれば、全国で調査できるか?

→30強の大学で集まって、全国展開できるような試みをしている

●最終的には死をどうとらえるか、議論は大切だろう

→そういった教育・議論はされていない…
 東大でCOEで、文学部が死生学を勉強している

●Evidene不足
 なぜ??

→(天野)
厚生労働省に、医療政策を考え直してもらわないといけない…

日本で世界に誇るスタディ
4000人… NIHがお金をだしてくれたから、やれた
日本のお金で研究できない…
国だけでなく、企業もお金を出すべき(アメリカは、募金など資金が集まる)

しかし今、着実に研究が進んでいる

しかし、女性医療は学会ができていないので、まだまだ。
 共通のプログラムでデータを集め始めた

→(大内)
お金が、日本では足りない

そういった研究は、ラットを使った実験よりも下のものと思われていた
できる論文の数も違う
だが、やはり、進みつつある

●自身の経験から、ポイントを最後に一言

(天野)
自分が性差医療をできたのは、ラッキーな偶然
自分が選んだ循環器科医
 性差が世界でもっとも分かっている分野
 医者の中でも新し物好き 大学でも、人が集まりやすい

医者が教育を受け、育たないと、どんな医療も育たない
 食いついてくれたのが、よかった

知事と天野先生の繋がりをつくってくれた先生がいた
 さらに、その後に知事になってくれた

国も、県も、動いた
evidenceが必要と、疫学研究もすすみ…

しかし、千葉だけの動きにとどまっている
 本当に必要なんだ、という動きを作らないと…

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