« 東大ノート(中医協) | メイン | 東大ノート(日野原重明先生) »

混合診療について

思うことを、もう少し書いてみました。

日本では自由な最先端の治療が行えない、だから混合診療を行って自由に治療を
受けれるようにするべきだ、というが、であれば差額ベッド代を一日1万円とか5
万円とか請求するなり、病院の隣に自由診療のクリニックを作るなりすればいい。
きちんとした病院の実績とプライドと信頼、きちんとしたインフォームドコンセ
ントへの気持ちと能力、家計簿をつける程度の金銭感覚、の三つがあれば、それ
は可能なはず。
現状の枠内でのきちんとした努力抜きにして、「なんでもOK。すべては患者の自
己責任で」への道をつくるのは、命という、本人にとって全財産と引き換えにし
てもいいような「商品」を扱う医療という産業では、問題がある。
自分の命を前にして、「見極め」を行いきることができるひとは、医療者も含め
てそうはいないと思う。患者をバカにしている、というわけではない。
正確な知識を持っているであろう医療者であっても、わらにもすがる、という行
動はするでしょう。

規制緩和には私は基本的には行うべきだと考える。
しかし、第一に行うべき場所は現場のカネの流れ、ではないと思う。
外国の数倍も数十倍もする医療器具の値段や、世界の最先端がなかなか導入でき
ないシステムそれ自体、のはず。根が深い根本原因をまったく無視して、現場の
カネ、現場の負担、消費者の負担、で解決させようとするやり方は、政治のあり
方として間違いではないのか。

混合診療を行えるようにしたら、確かに自由診療という枠で医療界に流れ込むお
金も少しは増えると思うが、それ以上に、保険というシステムを介して入っ
てきたお金が他の産業界に流れていく量の方が多くなる気がする(根拠はない
意見ですが:汗)。そうすると、医療はますますやせ細っていくと思う。

現状の枠の中でもできることがあるはず。
それを終える前に、混合診療は行うべきではない、と私は思います。

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://dream-hosp.net/cgi/mt/mt-tb.cgi/1972