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2005年04月22日

チーム医療

チームの本質は、目標を共有し、状況を共有しながら互いに補い合うことである
と私は考える。それは、言葉にすると簡単であるが、実行することは容易ではな
い。

私はI-cubeという全国規模の、医学・看護だけでなくリハや放射線などのすべて
の医療系の学生、栄養や教育や法律などの医療に興味のある学生、さらに医療現
場で働くまたは医療についての夢を持つ社会人の集まる、600人規模(2005年4月
現在)のサークルを立ち上げた。それを通じて、いろいろなことを学んだ。

様々なバックグラウンドを持つ人間が集まったとき、その違いはやはり壁になる。
大学が違えばスケジュールが違う。専門が違えば持つ知識が違う。能力の質も、
やはり違う。同じ背景を持ち同じ言語を持つ集団が、やはりもっとも統率しやす
い。個々人を分析し、組織に組み込み、指示を出すことは、手間のかかることだ
からである。

しかし逆に、もっとも力が持つのは、様々な人間がいるチームであるということ
をそこで知った。人間が一人でできることには限界がある。同質の人間が集まっ
ても、やはりできることには限界がある。異質な人間が集まると、想定外の出来
事が起きてしまう。しばしばそれはミスに繋がってしまう。しかし、うまくメン
バーが繋がっていれば、想定外のすばらしい結果に繋がることがある。

予想を越える良い結果を得ることができるチームの条件は、目標を共有できてい
ることと、適切に情報を共有できていること、の二点であると私は考える。目標
が共有できていなければ、それぞれのメンバーの視点と行動が分散し、力を集め
ることができなくなる。情報が共有できていなければ、それぞれのメンバーが適
切な行動を起こすことができなくなる。

現在の日本医療のチーム医療の原状について考えたとき、その二点は、なかなか
実行できてはいないと私は感じる。医療の目標である患者を意識するために、患
者中心の医療、と言われるようになって久しいが、日々の忙しい医療現場の中、
医療者はしばしばそれを忘れてしまっているのではないだろうか。電子カルテ
やカンファレンスは、情報共有のためにあることを、しばしば医療従事者は忘れ
てしまっているのではないだろうか。チーム医療の実現のためには、夢や理念に
支えられた心からひとを動かす目標と、職種や個々人の違いを感じて受け入れる
情報共有の土壌とが重要であると、私は考える。

2005年04月12日

癌の転移が防止できる??

「がん転移防止、大地震予知…科学者2700人が未来予測」
http://www.asahi.com/life/update/0409/004.html

ほんとか〜〜〜と思ってしまう。

むかし高校時代に図書館で、10年後の未来、という当時からみて20年前に書かれ
た本を発見し、なかなか面白かった記憶がある。内容は、覚えていないけれどね。
ひとつ覚えているのは、当時は、家のすべての機器がひとつのコンピューターで
制御される、だから家に電話をすることですべてを遠隔操作できるという未来予
測があった。これだけコンピューターが小さく安くなるという予測がたたなかっ
たり、各メーカーの言語を統一するという作業が難しいことが想像しきれていな
かったり、というのがあるんだろうけれど。

話は戻って、癌の話。
なんか、この表現だと胡散臭い。
だいたい、どんな専門を持っているか分からない2700人を集めている時点で、よ
くわかんない。専門家は、専門を出ればただのひと、だ。

思うんだけれど、大衆って、各論が好きな気がします。頭を使って自分で答えを
導いたり、各論の根拠を考えたりするための総論的なところが、めんどくさいか
ら好きではない。
でも、未来を予測して動いている人間として思うのですが、各論って、予想でき
ない…。個々の流れは、想像できない。予想できるのは、全体の流れ。そして、
予想する全体の流れからルールを想定し、それに基づいて個々の流れを計算し導
き出す。
未来を予想する、というのはそういった世界だと思います。

だいたい、ノストラダムスがはやったのも、どうとも解釈できる文章だったから
だ、…とまでいうといいすぎか。

結論。

各論が求められる社会は、本質的でなくて、なんか、疲れるなあ。

2005年04月06日

個人情報保護法?

個人情報保護法について、少し思うこと。

最近、いろいろなところで個人情報保護法のセミナーが開かれています。それら
を見ていて感じるのが、「日本て、後進国だなあ」ということ。

個人情報を保護するというのは当たり前のことだし、罰則というのも、当たり前
のこと。なんでいまさらこんな騒ぎになるのか、違和感を感じます。世界的には、
20年前から取り決めがあり、システムが作られてきている。
日本って、文字通り、後進国だ…

おまけ。
病院に個人情報保護法をそのまま当てはめるのって、どうなのかな、と思います。
病院で保持している個人情報は、病院の商売のためではなくて、患者さん個人の
ためだと思う。それを保護するための具体的な対策を膨大なコストをかけてとる
のは、各々の病院の仕事なのか? 病院って、ぼろもうけしているわけじゃない
し、医療は進歩し続けるために情報を共有しなければいけない学問と密接に絡み
合っているということもあるんだから、もうちょっとお上が動いてくれても、と
思います。
医療などにかけるお金はなどない、と一蹴されてしまうのだろうけれど。