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2006年06月29日

研修医から見た新臨床研修制度(6/11講演記録)

6/11に地域医療研究会の講演会【新臨床研修制度を考える】で発表した内容を、簡単にまとめてみたので、アップします。

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研修医から見た新臨床研修制度
  東京医科歯科大学所属・三島社会保険病院研修医 小池宙

 ひとりの研修医として研修医や医学生の中にいると、新臨床制度についての文句が、聞こえてくる。
 始めに明らかにしておきたいが、私自身は現在の卒後臨床研修制度は非常にありがたいと思っている。まず、マッチングは、井の中の蛙が次世代の井の中の蛙を育てていたような教育システムに、風穴を開けた。「研修医に選ばれる病院」となるためには、「大海」に通用するような教育内容を求められ、またその内容が他の病院の教育内容に刺激を与えていると、見ていて思う。また、医学生の意識にも影響を与えた。ある医学生が口にしていた。「医者になれば就職活動しなくてもいいと思っていたからこの道にきたのに…」と。就職活動は、様々なことを学生に教えてくれる。漠然と医師の道に進んでいた学生たちに対する、いい意味での関所となっているだろう。
 また研修医をしていて思うのは、各科の勧誘の綱引きに巻き込まれないで広く医師としての基本を身につけられることが、ありがたい。専門家間の議論を、どちらの立場にも立たない視点で聞かせていただけるのも、ありがたい。個人的にはそう思っている。
 しかし、現場の研修医・医学生からは、不満の声がたくさん聞こえてくるのもまた現実としてある。曰く、

・各病院の本音と建前がわからない(使いつぶす労働力なのか教育の対象なのか)
・いいと言われるブランドのある病院が本当にいい病院なのかわからない
・短期間しかいないマイナーにいるとテンションが下がる
・自分が実際に受けている研修内容が正しいのか正しくないのか、確信を持てない

などがある。
 それらの根本には、今の新卒後臨床研修には欠けているものが三つあると、私は考えた。「Evidence」「Standard」「Outcome」の三つである。
 Evidence、つまり、以前の制度から現行の制度に変わってどのような成果が出ているのか分からないし、各病院での研修の真実も分からない。そのため、考えれば考えるほど根拠を持って道を選択できず、不満がたまる。
 Standard、つまり、一般的な研修内容(日々の生活など)が分からないし、他の病院でどんな研修が行われているのかが分からない。そのため、現状に安心できないし、逆に現状にあせることもできない。不安ばかりがつのる。
 Outcome、つまり、スーパーローテート、特にマイナーを回ったらどんな成果が出るか分からないし、地域医療研修の意味も分からない(地域医療は、保健所の力の入れ方の違いなどがあり、環境によって経験できる内容の質がまったく違うこともあり、不満がたまりやすい)。具体的にどんな医師をこの制度はつくりたいのか受け手にはなかなか分からないし、2年間が終わったら結局どんな能力が身につくのか、分からない。3年目に新たな道を選択しなければいけないこともあり、見えない未来に向かって不安がつのる。

 今、医学教育の結果、医学生たちはEvidence、Standard、Outcomeを意識するようになった。それらを使いこなし、より良いものを導き出す基本も、少なくない研修医と医学生が身につけていると思われる。しかし、肝心の医学教育や研修制度に、それらの三要素がない。それらの三要素を導くためのDataがない。そのため、よりよいものを導き出すということを、現場の研修医や医学生ができないのである。
 繰り返すが、新臨床研修制度は、以前と比較しすばらしいものだと私は思う。しかし、その本来到達できるであろう世界とDataがなくちぐはぐな状況の間で不満と不安ばかりがつのる現状は、どうにか対処するべきだと思うのである。

 補足になるが、そういったDataを厚生労働省や病院に任せきることは無責任だと思い、私自身も仲間達と、記録をつけ始めた(例:「とある研修医の日々」)。調査能力も処理能力も私達のレベルでは限りはあるが、それでも、現場の人間達にしか集められないDataを集め、現場の人間から、より良いものを提案していくことをしてみたいと思っている。もしも可能であればぜひ、御支援や参加等、していただけると幸いです。

2006年06月23日

女性の育て方、が分からない…

女性の育て方が、分からない…
そんな悩みを持ちながら、長いこと、たつ。


ひとを育てる、ということは、人生観がない人間にはできないと思う。
どんなふうに育つべきなのか、という持論がないと無理だと思うのだ。
外面ばかりはそこそこにできても、肝心の芯にまったく手の出せない教育しかできないから。

そんな前提を置きながら、自分の場合を振り返ってみる。
男をどう鍛えるか、は分かるつもりなのだけれど、女をどう鍛えるのか、が、まるでわからない…。
何かが、違う。

そんなことを感じつつ生きていたら、このあいだ、ふっ、と浮かんだ。
男と女の強さは違うのだ、ということが。

男の強さは「硬さ」だと思う。
対して女の強さは「柔らかさ」だと思うのだ。

…すけべな表現、と怒られるかもしれないけれど、そうではなくて、きっといきものとして、そういった両面をもつことが人間の生物としての強さとしてあると思うのだ。

男は、硬くあるべき。
そのために、鋼を鍛えるがごとく、熱し、叩きのめす。うまくやれば、同時にしなやかさや切れ味も身につける。でも本質は、硬さに向かう方向に、強さがあると思う。日本刀のような世界に、男の道ってあると思う。
そして、女と比べて生来持っている、バカ体力やバカ鈍感さが、そのような鍛える方向に役に立つ。
もちろん、柔よく剛を制す、という言葉もあるように、「柔」を強さとして持つ男はいる。でもやっぱり、信念、など、硬い、と思うのだ。

対して女は、柔らかさ、に強さがあると思う。体力とか鈍感さは男にどうしても届かないけれど、その逆方向に、男は届かない世界がある。
うまく表現できるほど、分析できていないけれど…

なんていうか、柔らかい強さ、が見える気がするのだ。
それが見えきらないうちは、女の子の育て方に迷い続けてしまうのかもしれない…


でも、そんな硬さや柔らかさの向こう側に、きっと、ほんとうの何かがあると思う。僕にはまだ見えないけれど。それをつかむことが、一番大切。人間存在としての、男とか女とかを超えた底にある、強さ。
近い未来に、それを、つかんでみたい。

2006年06月22日

東大HSP3期生募集でしゃべってきた

今日は東京大学医療政策人材養成講座HSPの3期生募集の日だった。

いろいろ、しゃべってきた。
母親が働いていたときの同僚の人がきていたのには、びっくりした…

どんなひとたちが3期生としてはいってくるのかな?
たのしみだ。

2006年06月18日

成長してねぇ…

昔使っていたはてなのブログから、ふと思い立って文章の引越し作業をしていた。
で、2004年の9月の日記で、うぅむと思った。


…成長してねぇ…

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ちゅうはマゾだと言われ続けてきた
おれもそうだと思い続けてた
でも、違うことに、今日気付いた

俺は、戦い方は身につけてきた
鍛え方は身につけてきた
でも、癒され方は、知らずに生きてきた

そうだったのか。
道が、見えてきた気がする

2006年06月14日

Exp20 『ホスピスから考える“I have a dream.”』

緩和ケア・ホスピスイベント
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『ホスピスから考える“I have a dream.”』
            <<Your Experience 第20弾!>>

■ ◆----- 6月17日(土)13:30〜 in 東京医科歯科大学 ----- ■ □
■ □   
    〜ホスピス医からの<メッセージ>〜
           小澤竹俊氏(横浜甦生病院ホスピス科長)

        Produced by I-cube 〜夢の病院PROJECT〜
               http://icube.umin.jp/
                          ――――
――――――――――――――――――
 参加申込はこちら!!
 http://my.formman.com/form/pc/CmJblz4nFCEkmGxa/
        ・・‥‥…━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ホスピスのイメージ・・
全ての人が幸せになれる場所でしょうか?
全ての人が“Happy”なのでしょうか?
それは違う気がする。
苦しんでいる患者さんがいるはず・・・

じゃあ、苦しみって何?

簡単に答えようとしても難しい。
苦しんでいる患者さんをどう接していけばいいのか?
一緒に知って、話して、考えてみませんか?

また、今回のタイトルである “I have a dream”
あなたが医療現場で描く夢どんなですか?
あなたはどんな医療者になりたいですか?
「夢」は言葉にして、現実に近づきます
自分の中でとどめないで、みんなで話しませんか?
みんなで共有して、確かな夢の確立へ・・・
一緒に知って、話して、考えてみませんか?

《テーマ》
【ホスピス】の共有<実際のホスピスの現状とは?>
【苦しみ】の共有<苦しみとは何か?>
【夢】の共有<小澤氏の夢やホスピスの講演を聞き、自分の夢を考えるきっかけに>

 ◆日時  2006年6月17日(土)
       13:30開始(13:00開場 16:30終了予定)
 ◆場所  東京医科歯科大学(予定)
     (最寄: 地下鉄・JR「御茶ノ水」駅すぐ)
 
 ◆参加費(資料) 学生500円(社会人は1,000円とさせて頂きます)
 ◆当日連絡先 070−5557−7015 (担当:二瓶)

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講師:小澤竹俊氏 (おざわ たけとし)
     横浜甦生病院ホスピス科長
     1963年、東京都生まれ
医者を志して慈恵医科大学に入学する。卒業後4年間の大学院での勉強を終え、救命救急センターで循環器系の医者として2年間働く。その後、山形県の町立病院に移り、学生時代からの夢であった農村医療に従事する。「延命」よりも「看取り」の重要性を感じ、ホスピス医になることを決意。現在は横浜甦生病院で、内科を担当すると共に、ホスピス科の病棟長として勤務している。

 著者に、「苦しみの中でも幸せは見つかる」など。

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       情報配信を配信中。ぜひ、ご登録ください。
       http://icube.umin.jp/medinavi.htm
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┃■┃ お申し込み&お問い合わせ
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(会場の大きさに限りがあるため、事前に申し込みをいただけると幸いです)

参加申し込みフォームへご記入の上、ご送信ください。
 http://my.formman.com/form/pc/CmJblz4nFCEkmGxa/

当日参加も可!(ただし事前申し込みのある方を優先させていただきます)


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┃■┃ 主催
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  ◆主催:I-cube 〜夢の病院PROJECT〜 http://icube.umin.jp/
  ◆連絡先:小池宙 (I-cube代表)

↓ここ数回の私たちの企画の報告は、こちらで読むことができます↓
◆『先輩ドクターへ 僕らからのメッセージ』(ケアネット.com)◆
http://www.carenet.com/others/icube/index.aspx


 ■ I-cubeとは? ■
 私たちI-cubeは、
 ・ Intercollege(学校間)
 ・ Interdivision(専門間)
 ・ Interchange(互いに交換)
 の3つを合言葉に医療について学びあうサークルです
 一緒に『何か』を交換しませんか??
 そして未来の医療を共に、紡ぎましょう!

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      ◆この文章は自由に転送してください◆

━━━━━━━━○ Produced by I-cube 〜夢の病院PROJECT〜 ○━━

2006年06月04日

ヒーローと十字架と

ヒーロー。
おとこのこだったらあこがれる、らしい。
けれど、基本的なところを理解しないであこがれているおとこのこって、多い気がする。

ヒーローの強さは、「上手さ」ではない。どんなにスキルがあっても、上手にものをこなせても、強さにはつながらない。
ヒーローの強さは、背負っている十字架の重さに比例する。そして、その重い十字架を、投げ出さず、きちんと運びこなすこと、が、強さとなる。

そう。
苦しい、とされることをこなすことができないヒーローは、ありえない。

2006年06月02日

病院食はやっぱりからだにいい!

ここしばらく、3食ほぼすべて病院でたべている。
朝は検食、昼は病院食道、夕も検食。
お金もかからず、悪くない!

で、今朝、ふと久々に、家に転がっていたインスタントラーメンで朝食をとってみた

…そしたら、下痢で苦しんだ。

ここしばらく、そんなかんじ。どうも、インスタントラーメンとかカップラーメンとか食べると下痢をする。悪いもの(化学調味料など)をからだが受け付けなくなっている。やっぱ、ああいったものはからだに悪いんだろうなぁ。

ということで、研修医のしんどい?生活も、からだは壊さずになんとかやれています。