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医療と農業の「立ち去り型サボタージュ」

昨日の文章の追記で…。

> アメリカの保険会社の例も、見過ごせません。アメリカでは医療現場に何も関わっ
> ていない何も生産していない保険会社の従業員が大量に存在し、それが医療現場
> で患者と医療者が血を吐きながら生み出した成果を吸い上げています。

すでにそのような状況、実は若手医師・看護師の「立ち去り型サボタージュ」と
いう形で日本でも起きている気がします。

その前に、「立ち去り型サボタージュ」について他の例を。

日本の農業。現場はとてもとてもしんどいです…。農家は子供をそんな農業させ
たくない。でも、先祖代々の土地を手放すこと、農業をすてること、そういった
道義に反することはできない…
と、子供は農協に就職させ、畑は外からの人間に貸して…なんてことがあったり
します。Iターン、Uターン、ですよね。

ポイントは「現場がもうどうしようもなく辛すぎるから、現場で働く仕事ではな
く、現場の産物を右から左に動かして飯を喰う農協に就職する」という現象。
それは、意味のない農作物の価格上昇をつくっていたりする。他国の農作物と比
較しての日本の農作物の価格競争力はさらに低下する…。
それは、農家を責めるべきことではなくて、そのような状況があることに注目し
ないといけない。それくらい、現場はしんどい…

農業。草木の成長をみて、自然を感じ、ときに打ちのめされつつもとてもやりが
いのある仕事。誇りのある仕事。先祖から続く仕事。
でも、それを放棄せざるをえない、農業の現場。


同じことが、医療現場にもおきていると感じます。
やりがいはある。誇りもある。命が救える。
けれど、それを放棄せざるをえない、つらすぎる現場。
医療現場に疲れた医師・ナースが、直接の現場とは離れたところで職に就く。
現役の医学生でも、医療現場ではない場所で働くことを決めているものもいたり
します(もちろん、現場より心惹かれる場所を見つけたというひとも多いですけ
れど)。
そうして、現場からひとがへり、現場と離れたところで医療のお金が動く。
そしてさらに現場はしんどくなる。

けれど、それくらいしんどい現場だったり…
「立ち去り型サボタージュ」
医療より早くそれが起こった農業のどこかに、医療改善のヒントがないかなー、
と、最近アンテナを伸ばしてみています。

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