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「医師不足」に思う

知り合いから教えてもらった、旭川医大外科の笹嶋唯博教授の文章を読んで。

日本外科学会雑誌
http://ci.nii.ac.jp/vol_issue/nels/AN00188218_jp.html
第107巻第6号255ページ
http://nels.nii.ac.jp/els/contents_disp.php?id=ART0008036492&type=pdf&lang=jp&host=cinii&order_no=Z00000003478901&ppv_type=0&lang_sw=&no=1169643349&cp=

内容をまとめると、

・勤務医の労働条件は他の業界と比較し、開業医と比較し、とても悪い
・勤務医は、医者でなくてもできる仕事(外科医が「電動ドライバーで釘を打つ
がごとく」な仕事)に忙殺されている。手術に専念できない
・医療過疎といわれる昨今であるが、地域が選挙の材料に無駄に医師を吸い上げ
ていないか。開業医が無駄に医療費を吸い取っていないか
・そんな状況に医局の医師供給など追いつくわけもない

といったところ。

…白い巨塔、と世間に冷たく糾弾される中で、地域への人材供給という責任を負
わされその仕事に無意味さを感じながらも忙殺される、医学部教授の悲鳴が聞こ
えます。


日本では医者の修行の量が足りないとマスコミには文句を言われますけれど、
たとえばアメリカは日本的に余計な業務がないせいで、
「17時になったら携帯の電源を切る」(日本と逆…)
ようなQOMLが高い生活をしながらも日本より経験を積んだり勉強したりに全力を
つぎ込めると聞きます。

日本は、オールマイティな医者、オールマイティなナースに数々の雑務をさせる
ことで医療費を安くしてきました。それが限界に達しているのに(例:「立ち去
り型サボタージュ」)それに気づかず、患者の状況が限界にきているからと医者
やナースにさらに負担をかける流れ(マスコミ、政策)を感じます。
まあ、今の現状で病院に流れるお金を増やしたところで、医者やナースのすべき
でない仕事をする事務員を増やし管理する経験と視野は今の現場にはないので、
なかなかどうにも手は出しにくいのも事実ですが…

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