タミフル狂想曲…
タミフルが世間を騒がせている。そんな中、気になっていたことを言葉にしてくれていた記事を見つけた。
「タミフルをほとんど使わないスイス」
http://www.swissinfo.org/jpn/front/detail.html?siteSect=105&sid=7648896&cKey=1174637435000
…日本人って、【治療、何かしなくちゃいけない】【薬、何かつかわなくちゃいけない】という信念が強すぎるなぁ…といつも思います。
タミフルなんて、ふつうのひとに使うと罹病期間はちょっと短くなるけれど使うと症状は逆につらくなる、といういわば熱の出る解熱剤、でしかないわけで。それを、インフルエンザになったらのまなきゃいけない、という思い込みがあったちょっと前というのには(特に母親に…)、日本人はまじめだなぁ、でも上っ面しかみていないなぁ…と感じてしまいます。
誰かに看護られながら休む、というのが治療では根本的に重要なわけで。
それは薬でごまかされるものでは本来ないわけで。
でも、「効率化」された現代、家族が病気になっても誰も休みを取れないから薬でごまかす、子どもが病気になったときに対処方法を家族が知らないから罪悪感もあって薬で何とかしたがる、という社会的な病理があって…。
解熱剤も、脳症とか発生率上げるというし、使うべきではないのですよね…。
でも、「何とかしてあげたい」という気持ちから使用されてしまうし…。
タミフルの安易な使用は、耐性株を増やすということも指摘されないまま世論が
動いているのもとても気になります…。抗生薬や抗ウイルス薬は使用するほど耐性を発生させて使用できない状況をつくる、限りある資源である、という大切な考え方は、本来とても大切だと思うのですが…
さらに加えると、世界の7割のタミフルを使用するなどという、全世界への迷惑をかけながらタミフル信仰を持ち続けた日本の消費者意識という過去はまったく無視して、製薬会社や厚生労働省や研究者に「逆ギレ」する世論って、いくら専門外だとはいえ海外に対して恥ずかしさを感じて勉強していただきたいな…と思うのです…。10代の若者の恋愛感情じゃないのですから…。
…ともあれタミフル。タミフルは使用禁止にしろ、政府・製薬会社・研究者は深く反省しろ、という圧力が今世論を動かしていますけれど、もともと風邪(インフルエンザだけでなく風邪症候群全体)を薬でなんとかしようという文化が根本的に間違えていると思うのです。
重症なインフルエンザ患者や新型インフルエンザが出たときとかは使用しなければいけないタイミングもあるだろうし、意味薄く副作用ある薬の使用はたくさんあるのだから(風邪に抗生剤、体調悪いから点滴、などなど…)、タミフルを使用禁止にする、という局所的な嵐で事件が終るのは、いやだなぁ…、と感じます。
…でもまあ、風邪症候群には西洋医が使うのは苦手な漢方薬がとっても効果的だったりするので、東洋医学もできる医師のところにいくときっちり対処できたりもしますけれど。
感染症の治療中に解熱剤は使うなと教え込まれた研修医、からでした。