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「参観者の批評や助言」での現場の改善は不可能

タミフルのマスコミや市民の対応に頭にきていたところに、いい文章に出会った。
転載OKとのことなので長いけれどまるまる転載してみる。

> [ 学びの共同体 ]
>
> 古山です。
>
>  佐藤学という教育学者がいます。「学びの共同体」の実現を
> 主唱して、各地の公立学校で実践的な活動をしています。聴きあい
> 学び合う関わりを学校の中に作ることを目指しています。
>  『学校の挑戦 ──学びの共同体を作る』 佐藤学 小学館
>
>  この「学びの共同体」でできてくる学校は、しっとりとした感じを
> 持っているのが特徴です。
>  落ちこぼれ、いじめ、不登校などが劇的に少なくなり、学力も
> 上がっていることが報告されています。
>
>  現在、火がついたように広がりはじめ、昨年春で小学校1500校、
> 中学校300校くらいが取り組んでいるそうです。
>  公立学校を改革することは、とても難しいことで、佐藤氏も数多くの
> 失敗を重ねたそうですが、改革のモデルになるような拠点校ができて
> から、急速に取り組みが広がってきています。
>
>  この「学びの共同体」つくりの中核にあるのが、新しいスタイルの
> 校内研修です。
>  教師は教室を閉ざさず、最低年に一回は、公開授業をやる。
>  その公開授業は普段の授業を取り上げる。特別に用意しない。
>  話合いの対象を、「どう教えるべきだったか」ではなく、「こどもが
> どこで学んでいたのか、どこでつまずいていたのか」の事実に置く。
>  参観者は、「授業者への助言」ではなく、自らが学んだことを述べ
> る。
>
>  このような公開授業を100回くらい積み重ねると、学校が
> 変わってくるというのです。
>
>  従来型の公開授業ですと、参観者が批評したり助言したりします。
> すると参観者が裁判官のような権力者になってしまう。この権力
> 関係が解消されないと、教師どうしの学び合いが起こりません。
>
>  権力関係でない学び合いが教師間に生まれると、急速に学校全体の
> 教育水準が上がってきます。
>
>  先生たちは、つねに問題に直面して苦しんでいる当事者ですから、
> 有効な研修や講習があれば、飛びついてきます。
>
>  ところが、学校の中にいない人たちが教育を指揮すると、現場の
> 困難が「だらしなさ」にしか見えません。そこで、権力関係や賞罰で、
> 動かそうとします。
>  これは、実情にあってないので、学校の人たちはいっそう腐る。
> そこで、ますます権力関係を構築する。
>
>  この悪循環を、日本の学校システムはえんえんと繰り返してきた
> と思います。いままた、教育三法の改正をやろうとしていますが、
> だめになりかけたシステムを、なんとか権力関係と賞罰で動かそう
> とする発想からの改正です。
>
>  どうしたら学校がよくなるかについては、すでにたくさんの
> 提言もありますし、外国のよい実例もいくらでもあります。ところが
> 実行がすごく難しいのです。やってやれないことはない、しかし、
> 日本の学校システムは権限の分散した同士が複雑怪奇にからみ
> 合う構造になっていて、実行が難しいのです。
>
>  ネックになっているのは、日本の教育の実質的命令指揮ラインが
> 長すぎること、法令拘束が多すぎること、教師が行政機構の末端に
> 組み込まれていること、奇怪な人事管理制度があることなど、教育
> 行政の部分にあると見て、その研究をやっています。
>
> *************************
> 【転載・引用を歓迎】
> 古山明男
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今の医療はまさしくこれだと感じる。
現場に対しては無責任な立場に身を置いている人たち、特にマスコミの立場にいるひとたちが、正義感に基づいて現場責任者の医療従事者を糾弾する。それはこうすればよいのだと、どう実行すればいいのか想像せずに提言する。「だらしなさ」を追求する。無責任な立場にいるからできる、指摘をする。現場の活力はそがれ、権力構造が固定化する。

医療を評価することは専門外のひとたちは難しい。マスコミは専門家でないことをよくあれだけふつうのひとにわかるように報道するよな…とよく思う。
下手に何かを褒めると、不勉強なジャーナリストがわけもわからず見栄えのいいものだけ取り上げて世の中をアンバランスにする、と怒られるのもマスコミだけれど(実際自分もよくそんな怒りをもつけれど…)、でも、やっぱり「いいものを世に知らしめる」ということをジャーナリズムの基本、と定義しなければマスコミが世の中をよりよくすることはできないと思う。糾弾がジャーナリズム、ではないはずだ。
正義感があるジャーナリストこそ、責任感を持ってほしいと思う。現場・未来への責任感と当事者意識のない正義感は、最悪だ…

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