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くすりは嫌い?と誤差の範囲と

多すぎる薬は嫌い。多すぎる検査は嫌い。
そんな感覚が自分はとても強過ぎて、よく苦労する。
一年目の憧れてた指導医の影響かなと思っていたが、自分の履歴を振り返ってみてそうではないことに気づいた。

生物学をやっていたとき、科学的な思考はいろいろなものを無視することだと知り、その頭で医学部にきて、記載しにくい副作用は無視されるものだとイメージしていた。
薬害ヤコブの訴訟運動、スティーブンス症候群患者の聞き取り調査などに参加し、副作用がでたときの悲惨さを知った。
副作用の研究をしている先生から、3剤以上内服しているときのデータがある組み合わせはほとんどない、それ以上飲ませることは臨床の場で未知の世界に毎日踏み出していることなのだ、と教えられた。
医療経済、医療経営も学び、無駄遣いは患者の首も医療者の首もしめるのだと腹から感じた。

そんな経歴の自分は、薬に対して否定的な気持ちをまず持ってしまう。
こんな感覚、普通の研修医は持たないものだろう。

でも今までのEBMでの勉強内容を振り返ってみると、そんなにストイックに副作用を気にしなくてもいいものなのだ、と腹で理解できるようになってきた。そんな誤差の範囲にこだわっても、患者に益なく害があると、腹に落ちてきた。

大切なのは、ぼちぼち、の精神。
ストイックにミクロにこだわる批判的吟味もたまにはして自分を疑ってかかるのもいいことだけれど、べつにその差は誤差が吸収してくれるもの。

そんな気持ちで、ぼちぼちやらねば。
そんなことを再認識した今日だった。

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