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2008年08月06日

ペットと入院と

「ペットの持ち込みを推奨する高齢者介護施設が増加」

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ふと目にとまったので紹介させていただきます。

動物好きな自分はペットのない生活が耐え難く、今も寮でハムスターを飼ってい
たりします。やっぱり動物はいいです(^^)。病院でもペット持ち込み…としたい
ところですが感染制御の観点からは不可能なので、寂しいです…


ついでに。
病院に入院すると安心、という患者さんは多いけれど、東洋医学もやる医者をやっ
ていると違和感を感じます。入院していると、元気がなくなってくるんですよね…。
やっぱり自宅ではない場所は人間を消耗させます。相部屋もストレスがたまりま
すし…。

入院患者さんが退院されたあとに在宅で診る事があるんですけれど(佐久病院な
らではのシステムで、病院医師が往診もするので、気になる患者はその後も診る
ことができるんです)、家にかえるとやっぱり表情が明るい。のびのびしている。
もちろん、介護されるご家族の大きな援助があるからでしょうけれども。

入院していれば医師看護師の目は近いけれど、どうしたって院内感染はあるし、
実は体を治すのは患者の治癒力ですし、入院していれば体力消耗するし…。病気
は治しても元気はなくなる、というのはふつうにあることで。長期入院は体に毒
です。入院していれば、元気になるのだ、という前提は、変えたいな…と思うこ
とがあります。

2008年08月04日

『The ICU Book (Third Edition)』(日本語訳)

http://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4895925005/chuchublog-22/ref=nosim「The ICU Book (Third Edition)」(日本語訳)
http://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4895925005/chuchublog-22/ref=nosim

これはもしも持っていなければぜったい買うべき本!

重症患者の管理。難しいです…。
Evidenceがあやふやな、けれどもやるべき治療も多く、またマニュアル本はいくつかあっても重症患者の管理の全てを総まとめで書いている本はほとんどない。そしてまた、いろんな常識、でも一歩病院の外に出れば非常識、な重症患者の管理方法っていろいろあり、さらに迷う…。そんな中、確固たる足場を築くために最高の本! ひとりの医師の手で(!)書き上げられているため一貫性に隙がないところも安心感が大きいです。
こまかいところではちょっと気になる部分もあったりもするけれど、でも何よりも、こんな知識がありがたい、というpearlsがちりばめられていて読んでいて感動します。一度じっくり、読むべきです。


…日々の仕事に忙殺されてずうっと読み終えることができていなかったこの本を、やっと読み終えることができて心地よい達成感に包まれている小池でした(^^)

『がん患者の感染症診療マニュアル』

『がん患者の感染症診療マニュアル』
http://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4525423218/chuchublog-22/ref=nosim

ぼく自身はがんの患者さんを診ることが少ないので、気になって買ったはいいけ
れど、ずっと積読していた本でした。でも旅行にいくときにちょうどいいサイズ
の本を…と見渡していたらたまたま眼に入って、カバンに放り込んで読んでいた
らとても面白かった!!!
『がん患者の…』とかいているくせにそうではなくて、『入院患者の…』だとつ
くづく思います。

感染症は知識も大事だけれどまずたいせつなのは、5つのステップ。

@患者背景
AFocus
B病原体
C治療方法
Dその後の経過

この本はそこに徹底的にこだわっているのでただ読んでいてもトレーニングにな
るし、そして研修中に必ず目の前に現れる感染症の患者さんを前にどんなことを
考えればいいのかをきっちりと教えてくれる。こんなふうに感染症医の頭の中身
を整理してくれている本は、ぼくは読んだことはなかった。

特にぼくは、Dその後の経過、が読んでいてとてもうれしかった。感染症の患者
さんの状態をどうフォローすればいいのか、とても悩んだ時期があった。勉強す
れば勉強するほど上の先生とぶつかるし…。体温下がって元気でFocusもよくなっ
ている患者さんのCRP計測しなくちゃ嫌な顔されたりするし…。
まあわざわざ上司とぶつかる必要はないだろうけれど、やっぱり論理が重要な医
師の修行中であるからには、地域的・施設的・習慣的な形式ではなく、理論的な
形式を身につけたいところで。それを明示してくれるのは、とてもありがたいで
す。


でも、監修の大曲先生とその後お話させていただく機会があってそこのところを
話したら、あれも悩みながら思い切って書いたんだよね…でも誰かが思い切って
書かないと議論も始まらないからえいやと書いたんだ、なんてことをおっしゃっ
ていました。そこのところもかっこいいなと思います。

しかも白衣のポケットに入るいいサイズ。感染症の思考パターンを頭に刻み付け
たい研修中の方は、ぜひ!!